レールから脱線し続けてきた人のブログ

主に旅行・勉強・病気についてイレギュラーな生き方をしてきた人間が綴るブログ

混沌の国インド~1日目~

いつもの職場の景色を客としてみることは陽太にとって若干異様であった。

グランドスタッフとして働いている陽太はいつもお客様を出迎え、お送りする役割を担っているため、自分が客として旅行に行くのはなんだか不思議な感じだった。

2時間半も前に着くことなどいくら国際線でもまずない。エコノミーなら。

しかし今回はたまったマイレージをプレミアムエコノミーという上級クラスに充てることでラウンジも利用できる。

たいした給料を稼いでないのにという若干の引き目を感じつつも社会人として働いているので多少贅沢しても罰は当たらないだろうと思う。

朝10時からビールにワイン、なんて贅沢なんだろうと思う。

周りを見ればビジネスマンやリタイアして猶予がありそうな初老が多い。

 

時はいつの間にか搭乗時間。万が一用のUSDへの両替と暇つぶし用の本を買って乗り込む。さすがプレミアムエコノミーということもあり足が伸ばせる。最近LCCばかりで窮屈な思いばかりしていた陽太にとっては最大限の快適である。しかも搭乗率もさほど多くない。ビジネスを見るとそこそこ乗っている。中には同世代ぐらいの人もいる。すごいな~とまるで人ごとのように見る自分に引け目を感じていたのは隠せない事実。

8時間と言いつつもあっという間のフライト。映画2~3本見ていたら着いてしまった。

 

到着して「また来てしまったな。」思わず声を出してしまう。まさかメンタルをズタズタにやられた混沌の国にまた自分が足を踏み入れるとは…

しかし入国審査で唖然とする。インドと言えばカオス。時間は夕方5時。なのに誰も並んでいない。ラッキーと思いつつもなんだかインドらしくないと違和感を感じる陽太。

 

インドは空港に入るのに当日の予約があることが必須だ。要は一番安全な空間である。人もまばらで物足りなさを感じる。それと同時にこれから混沌な世界が待っていると思うとそれも楽しみでもあった。

この日はムンバイまで行く予定。当然国内線も遅れる前提だったがまさかのon time. 今回の旅は何かあるぞと勘付く。

しかし特に何もないままムンバイの空港に降り立つ。そこでインドを初めて実感する。モワッとした空気が陽太の身体を包み込む。息苦しいくらいに蒸し暑い。ムンバイに着いたのは夜の10時。危険甚だしいのは誰もが承知している。事前に頼んでいたホテルの迎えの人と無事合流し、ホテルへと向かう。

道中の景色にはやはりインドという世界がそこにあった。今にも崩れそうな家で暮らす人々。路上で死んでるのかも分からない格好で寝ている人。我先にとちょっとした空間に入り込んでくるバイク。「あぁインドだぁ」と実感できたのが嬉しかった。

それまで一切と言っていいほどインドらしくない感じだったのが、急にそれを実感して今の自分の存在場所を確認する。その日は移動のみ。快適なホテルでゆっくりする。

 

移動のみであったが一日で様々な世界を感じ、疲労に打ちひしがれる陽太であった。

 

 

2日目へ続く・・・